本人の限界と、介護する家族の限界は、同じ日に来ない。

家で過ごしたいというご本人の思い。
そして、家で支えたいと願ってこられたご家族の思い。
私たちは、そのどちらも大切にしています。

けれど、その暮らしを支え続けるご家族の生活も、同じように大切です。
誰かが限界まで疲れながら続ける在宅療養は、
ご本人が本当に望んでいた暮らしとは、少し違ってしまうこともあります。

ご家族の心や身体の限界を誰かに伝えることは、
ご本人を見捨てることではありません。

できるだけやった。
だけど、もうすごく苦しい。
そのうえで「これ以上は難しい」とご家族が口にされることを、
私たちは大切な言葉として受け止めます。

私たちも、もっと早く気づけたことはなかったか。
支え方を変えられる場面はなかったかと振り返ります。
だからこそ、ご家族の言葉と気持ちを受け止め、次の方法を一緒に考えます。

家で過ごす時間を支えてきたご家族は、最後までずっと頑張っています。
それまで共に過ごしてこられた時間は、決して失われません。

介護の手を一度少し離すことは、本人を手放すことではありません。
家族が休むことが、また一緒に暮らす力を残すことがあります。

本人の限界と、介護する家族の限界は同じ日に来ない。
だからこそ、支えてくださる家族を守ることも、在宅療養を支える私たちの仕事だと思います。

在宅療養を続けることだけが正解ではありません。
家族が壊れず、また戻れる場所を残すことも、私たちの支え方のひとつです。

無理矢理がんばり続けることよりも、家族の絆が壊れないことを。