「たかが便秘」ではありません。訪問看護が緊急で呼ばれる理由
訪問看護で緊急のご連絡をいただく理由の中で、実は多いもののひとつに「便秘」があります。
便秘と聞くと、少し軽く聞こえるかもしれません。
でも、在宅で過ごされている方にとっては、決して小さな問題ではありません。
年齢を重ねると、腸の動きも少しずつゆっくりになります。
食事量や水分量、活動量、生活リズム、薬の影響などが少し重なるだけで、排便のリズムは崩れやすくなります。
若い頃なら自然に戻っていたことでも、高齢になると戻りにくくなることがあります。
「少し出ていないだけ」と思っていても、数日たつうちにお腹が張ってきたり、食欲が落ちたり、吐き気が出たり、夜眠れなくなったりすることもあります。
便秘は、ただ便が出ないだけではありません。
お腹の上の方まで張ってくると、胸のあたりの圧迫感や、動悸のような不快感として感じられることもあります。
そうなると、ご本人は「何か大きな病気ではないか」と怖くなります。
そばにいるご家族も、「このまま様子を見ていいのか」「救急車を呼んだ方がいいのか」と迷われます。
便秘は、身体の中の小さな渋滞のようなものです。
けれど、その渋滞が続くと、お腹だけでなく、食欲、睡眠、気分、そしてご家族の安心まで止めてしまうことがあります。
訪問にうかがうと、ご家族から、
「こんなことで呼んでしまって、すみません」
と言われることがあります。
でも、私たちはそうは思っていません。
むしろ、呼んでくださってよかったと思っています。
便秘は、家で過ごす方にとって大切なサインです。
体の中で起きている小さな変化が、食欲や眠り、不安、息苦しさにつながることがあります。
そして何より、ご本人やご家族が、
「いつもと違う」
「何かおかしい」
「このままで大丈夫かな」
と感じたことには意味があります。
その不安を、ひとりで抱え込まないために訪問看護があります。
訪問看護では、何日くらい便が出ていないのか、お腹の張りや痛みはどうか、食事や水分は取れているか、吐き気はないか、普段と様子が違わないかなどを確認します。
必要に応じて、主治医と連携しながら対応を考えていきます。
「便秘くらいで相談していいのかな」
と思われるかもしれません。
でも、食べること、眠ること、出すこと。
それらは、家で過ごす安心を支える大切な日々の営みです。
便秘は、恥ずかしい話でも、軽い話でもありません。
ご本人が苦しいとき、ご家族が不安なときは、どうぞ早めにご相談ください。
私たちは、そうした小さく見える不安を、ひとつずつ一緒にほどいていきたいと思っています。
