季節の変わり目、心と身体にあらわれる「小さな変化」

暑かった夏が少しずつ終わり、朝晩に涼しさを感じるようになってきました。

「やっと過ごしやすくなった」と感じる一方で、季節の変わり目になると、なんとなく身体がだるい、眠れない、気分が落ち込む、いつもの調子が出ない、という方もおられます。

季節が変わるということは、気温だけが変わるわけではありません。

日照時間、気温差、湿度、生活時間、衣服、外出する時間など、私たちを取り巻く環境が少しずつ変化します。

多くの場合、身体はその変化に自然に適応していきます。しかし、高齢の方や病気を抱えている方、長く暑さの中で頑張ってきた方にとっては、その「ちょっとした変化」が思った以上の負担になることがあります。

心にあらわれる季節の変化

季節によって気分や体調に変化が起こることは、医学的にも知られています。

特定の季節に気分の落ち込みや意欲低下などがみられる「季節性うつ病(季節性感情障害)」という状態があり、特に秋から冬にかけて起こるものでは、日照時間の短縮との関係が指摘されています。

ただ、私たちが在宅生活の中で注意したいのは、病名がつくほどの状態だけではありません。

「最近、あまり外に出なくなった」

「以前より眠っている時間が長い」

「食事の時間がずれてきた」

「なんとなく面倒くさい、という言葉が増えた」

そんな小さな変化から始まることもあります。

本人に「つらい」「しんどい」という自覚がはっきりないこともあります。

毎日一緒に暮らしている家族だからこそ気づく変化もあれば、週に一度訪問する私たちだからこそ、「先週とは少し違う」と気づける変化もあります。

身体にあらわれる季節の変化

もう一つ注意したいのが、疲れやストレス、免疫機能の低下などをきっかけとして表に出てくる病気です。

その代表的なものの一つが「帯状疱疹」です。

帯状疱疹は、新しく外からウイルスに感染して起こる病気ではありません。

子どもの頃などに水ぼうそうにかかった際の「水痘・帯状疱疹ウイルス」が、治ったあとも神経の中に潜んでいます。それが加齢や疲労、ストレス、病気や治療による免疫機能の低下などをきっかけに再び活動し始めることで発症します。

最初から典型的な水ぶくれが出るとは限りません。

「皮膚がピリピリする」

「服が触れるだけで痛い」

「片側だけ妙に痛い」

といった症状が先に現れ、そのあと赤みや水疱が出てくる場合もあります。

帯状疱疹は、皮膚が治ったあとにも「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる痛みが残り、生活に長く影響することがあります。

だからこそ、「少し様子を見よう」と我慢するより、いつもとは違う痛みや皮膚症状に気づいたら、早めに医療機関へ相談することが大切です。

季節の変わり目は「病気になる季節」ではありません

季節が変わったから病気になる、という単純な話ではありません。

むしろ私たちは、夏の暑さを乗り越えたあと、気温や日照時間、生活リズムなどが変わっていく時期を、それまで隠れていた疲れや変化が表に出やすい時期として捉えています。

それは心に出ることもあります。

皮膚の痛みとして出ることもあります。

食欲や睡眠、活動量の変化として出ることもあります。

大切なのは、一つひとつの症状だけを見ることではなく、

「この人、いつもと少し違うな」

という変化に気づくことです。

訪問看護では、血圧や体温を測るだけでなく、その人の表情や会話、食事、睡眠、動き方、家の中での過ごし方なども見ています。

病気が大きくなってから対応するだけではなく、小さな変化の段階で気づき、必要であれば医師やケアマネジャー、ご家族と情報を共有する。

季節の変わり目だからこそ、そんな「いつもとの違い」を大切にしたいと思います。

身体も心も、環境の変化に追いつくまでには少し時間がかかります。

無理に頑張って季節に合わせるのではなく、少しゆっくりと次の季節へ。

私たちも、その変化を一緒に見守っていきます。